(紹介)Patron-Driven Acquisitions: History and Best Practices

引き続きPDA(Patron-Driven Acquisitions)の話題です。

こんな本が出てるよ、と教えてもらってはや数か月。
ようやく手に取ることができました。

Patron-Driven Acquisitions: History And Best Practices (Current Topics in Library and Information Practice)

Patron-Driven Acquisitions: History And Best Practices (Current Topics in Library and Information Practice)

まだぱらぱらと眺めただけですが、簡単に内容と著者の紹介をします。
まだ精読はしていないので、あくまでもざざっと見た感じの内容紹介。
著者紹介はAbout the Authors(p.197-200)によります。


編者について
編者のDacid A. SwordsはEbook Library(EBL)のセールス・マーケティング部門部長。2010年にEBLに来たそうですが、その前はBlackwellのセールス部門や、YBP Library Serviceの国際販売部門で管理職的立場におられたとのこと。ニューオーリンズ大学(University of New Orleans)で12年間テクニカルライティングを教えていたとも。
この本は以前はオックスフォード大学のボドリアン図書館(Bodleian Library)に勤めており、現在はWalter de Gruyter(この本の出版社ですね)の編集者をしているAlice Kellerと2010年夏にALAで会ったことがきっかけになっているとのことです。


Chapter1:Collecting for the Moment: Patron-Driven Acquisitions as a Disruptive Technology / Rick Lugg (R2 Consulting LLC)

PDAを"Disruptive Technology"(破壊的技術?)と表現。PDAは資料の供給プロセスや図書館の実務を大きく変えるのですよ、という話のようです。

■著者
R2 Consulting LLCの方で、Sustainable Collections LLCのトップの方のようですが、どういう組織なのかよくわかりません。。
OCLCのプレスリリースの中に

...Sustainable Collection Services, LLC, an organization founded by the principals of R2 Consulting, ...
とあり、これを紹介したCA-Rによると
...2011年に設立されたSCS社(注:Sustainable Collection Services)は、図書館が、利用の少ない図書を除籍したり他館との共同管理への移行したりといったコレクションの見直し(deselection)をデータに基づいて行うためのツールや助言の提供を行う企業だそうです。...
とのこと。こんな感じの理解でよいのでしょうか。怪しい。


Chapter2:Approval Plans and Patron Selection: Two Infrastructures / Bob Nardini (Coutts Information Services)

選書論の変遷について、順を追って述べられています。構成員が選択するということをどう考えるか、という話も。
ちなみにアメリカの大学図書館における選書論については、以下の資料で詳しく述べられているので合わせて読むといいかも、と思っています。

図書選択論の視界

図書選択論の視界

■著者
Ingram Content Groupの一部であるCoutts Information Servicesの製品開発部門の部長。公共図書館・学術図書館の両方で働いたことや、学術書の販売に携わっていた経験もお持ちとのこと。
2007年にCouttsに入ってからは、OASIS(Online Acquisition and Selection Information System)のカスタマーインターフェースやMyiLibraryのプラットフォームの開発、見計らい納品に関するサービスの開発、セールス・マーケティング等を担当されているようです。

※「Approval Plan」について訳し間違えていたので、修正しました。選書基準のことだと思い込んでいたのですが、よく読んでみると「見計らい」のことでした。(ALA図書館情報学辞典にもそう書いてあった...)ごめんなさい。


Chapter3:Building a Demand-Driven Collection: The University of Denver Experience / Michael Levine-Clark (University of Denver)

Denver大学のPDA事例。冊子と電子書籍の両方のPDAプログラムを実施しているようです。図書館、出版者、ベンダー、研究者それぞれにどのような影響をもたらしうるか、ということについても触れられています。

■著者
デンバー大学ペンローズ図書館(Penrose Library)の、収集部門の図書館員。かつ、レファレンスライブラリアンでもあり、"documents librarian"でもあるとのこと。(documents librarianって何ですか?)
Collaborative LibrarianshipというOAジャーナルを立ち上げ、編集者のひとりとしても活動されているようです。


Chapter4:The Story of Patron-Driven Acquisition / Kari Paulson (Ebook Library)

事例紹介。

  • オーストラリア・カーティン大学(University of Cartin)
  • オーストラリア・スインバン大学(Swinburne University of Technology)
  • CERN(欧州原子核研究機構)

出版社についても少し触れています。

■著者
Ebooks Corporationの子会社、Ebook Libraryの創始者であり社長。


Chapter5:Building New Libraries on the International Stage: The Near and Middle East / Rex Steiner (Azerbaijan Diplomatic Academy, Baku, Azerbaijan) and Ron Berry (New York University, Abu Dhabi)

中東の図書館についての事例紹介。

■著者
Rex Steinerはアゼルバイジャン外交アカデミーの図書館長。およそ15年間、国際学術・専門図書館に関する仕事をしていて、8つの国際図書館の計画、管理、立ち上げに携わったとのこと。事例が紹介されている3つの図書館においてもリーダーシップをとったそうです。
Ron Berryはアラブ首長国連邦アブダビにあるニューヨーク大学(New York University)図書館の副館長。以前はアメリカ・ミシガン州にあるグランドバレー州立大学(Grand Valley State University)の情報技術関係の部署でサブリーダーをされていたようです。


Chapter6:Patron-Driven Acquisitions in School Libraries: The Promise and the Problems / Tom Corbett (Cushing Academy, Ashburnham, Massachusetts)

学校図書館についての事例紹介。アメリカ・マサチューセッツ州にあるクッシングアカデミー(Cushing Academy)について。grade9~12の学生が在籍しているようなので、高校と考えればよいかと。
2009年に電子図書館に移行したことで有名な学校ですので(書架を取り去り、すべてデジタルに移行した学校図書館が注目を集める(米国) | カレントアウェアネス・ポータル)、電子書籍PDAの話が中心。

■著者
クッシングアカデミーにあるFisher-Watkins図書館の事務局長。電子図書館への移行にも深く関わっている方のようです。


Chapter7:PDA and Publishers / David Swords (Ebook Library)

PDAと出版社について。(ざっくり)

■著者
編者のため省略。


Chapter8:Patron-driven Business Models: History, Today's Landscape, and Opportunities / Sue Polanka (Wright State University) and Emilie Delquié (Publishers Communication Group)

以下の各ベンダーのPDAモデルを比較。今後の展望にも触れられています。

  • NetLibrary、Ebooks(EBSCOhost)
  • MyiLibrary(Ingram)
  • Ebook Library:EBL(Ebook Corporation)
  • ebrary(ebrary、Proquestの傘下)

■著者
Sue Polankaはアメリカ・オハイオ州にあるライト州立大学(Wright State University)図書館のレファレンス部署のリーダー。20年以上にわたりレファレンスライブラリアンとして、オハイオ州テキサス州の公共図書館・学術図書館などで働いてきたとのこと。電子書籍に関するブログ・No Shelf Requiredブログアワードの審査員をされていたり、Reference Books Bulletinの編集に関わっていたりも。本も3冊出しているようです。2011年のLibrary Journal Mover and Shakerにも選ばれています。
Emilie DelquiéはPublishers Communication Groupの副社長。マサチューセッツ大学ボストン校(University of Massachusetts-Boston)図書館の収集部門で5年間働いたのち、2005年にPCGのセールス・マーケティングのコンサル部門に。


Chapter9:Financial Implications of Demand-Driven Acquisitions: A Case Study of the Value of Short-Term Loans / Doug Way (Grand Valley State University Libraries) and Julie Garrison (Grand Valley State University Libraries)

アメリカ・ミシガン州にあるグランドバレー州立大学(Grand Valley State University)の事例紹介。データの分析もあり。財政的影響の点からPDAを見ています。PDAに関する文献レビューも。

■著者
Doug Wayはグランドバレー州立大学図書館の収書部門のリーダー。
Julie Garrisonはグランドバレー州立大学の教育研究サービス部門の副部長。それ以前は、セントラルミシガン大学(Central Michigan University)のオフキャンパス図書館、デューク大学Duke University)のメディカルセンター図書館の管理職をされていたそうです。


Chapter10:Texas Demand-Driven Acquisitions: Controlling Costs in a Large-Scale PDA Program / Dennis Dillon (University of Texas, Austin)

テキサス大学(University of Texas)のPDA事例。プログラムの始まりから問題点、予算など、丁寧に文章で説明されています。

■著者
テキサス大学オースティン校(University of Texas, Austin)図書館の研究サービス部門のサブリーダー。また、同大学の「System Academic Library Collection Enhancement Program」というものの管理者も長く務めていて、複数機関で共有する資料を購入したり(コンソーシアムみたいなもの?)、同大学での電子書籍の購入を推し進めたりといった活動をなさっているようです。


Chapter11:Elements of a Demand-Driven Model / David Swords (Ebook Library)

PDAの構成要素とは何か、PDAを成功させるには何が必要なのか、ということについて。各大学のPDA事例の比較もされています。

■著者
編者のため省略。


Chapter12:PDA and Libraries Today and Tomorrow / Dennis Dillon (University of Texas, Austin)

まとめですね。問題点の指摘と、コレクションは誰のためのものか?という問いかけ。

■著者

Chapter10で既出のため省略。


以上です。
事例紹介が多くてとても面白そうです。1章ずつの分量もちょうどよい感じで。
あいかわらず英語は苦手ですが、頑張ってちょっとずつ読もうと思います。