集中型シェアードプリントの将来構想

集中型シェアードプリントの事例について調べる上で、まずは現状存在するその共同書庫がどんな施設なのか、どんな運営をしているのか、といった情報を重点的に見てきたのですが、いくつかの施設では、Webサイトに「将来構想」なるものが置かれていることも気になっていました。
自分はまだその施設がなんなのかを調べている段階で、日本の大学図書館界もまだこれから考えようかっていうところなのに、そうか、海の向こうではもうその次のステップなんだなぁ、と感じた記憶があります。

そうした「将来構想」の事例をちょっとだけメモしておきます。

ReCAP

ReCAP Discovery to Delivery Project

コロンビア大学プリンストン大学・ニューヨーク公共図書館による共同書庫「ReCAP」の将来構想レポート。
ねらいはデポジトリ型からリポジトリ型への移行。
ReCAPではこの書架はコロンビア大学の、あっちの書架はプリンストン大学の、というように書庫スペースの共有にとどまり、その中の資料の重複調整などは行われていないわけですが、そのような「スペースの共有」から「コレクションの共有」に移行しようとしているようです。

レポートの内容は次の通り。

  • 全体像
  • 所蔵分析
  • 協定の改訂案
  • 共同コレクション計画
  • コスト見積もり
  • ほかのシェアードプリントプログラムのビジネスモデル調査
  • 3機関のワークフロー比較
  • 運用の技術面の分析(ソフトウェア*1など)

WRLC

Shared Collection Vision for the Washington Research Libraries Consortium

ワシントンDC近郊の大学による図書館コンソーシアムの将来構想レポート。
こちらもデポジトリ型からリポジトリ型への移行を意識しているようですが、共同書庫にとどまらないコンソーシアム全体による共同コレクションの将来像について、

  • ガバナンス
  • 人的資源
  • 資金モデル
  • 受入とアクセス
  • デジタルプロジェクト
  • 保存

の面から全部で15の提案がなされています。
他のコンソーシアムへの聞き取り調査もあり。

MLAC

Storage Facility or Shared Print Archive?

ミネソタ大学内にあるミネソタ州の図書館のための共同書庫「MLAC(Minnesota Library Access Center)」の将来構想レポート。
書庫がいっぱいになってきたのでどうしようか、というところからスタートしているレポートのようですが、レポートのタイトルから分かる通り、共同コレクションへの移行を意識しています。

レポートの内容は次の通り。

  • ほかのシェアードプリントプログラムの調査
  • MLACの現況
  • 将来構想
    • 案1:現状維持
    • 案2:国のシェアードプリントプログラムのハブになる
    • 案3:州のシェアードプリントプログラムのハブになる
  • 望ましい戦略
    • ビジョン、ミッション、ガバナンス、ポリシーを調整
    • シェアードプリントハブとしての最適分野と規模を見極めるため、必要なデータを収集し分析
    • シェアードプリントハブとなるため収容能力を強化
    • 先を見越したコレクションプロフィール、方針、管理計画を開発
    • 財団、CIC、HathiTrust、CRLなどと協力
    • MLACのミッションに関連する新たなサービスを検討
    • ミッション、ポリシー、ガバナンス、オペレーションの変化を考慮した財政モデルを調査

FCLD

マサチューセッツ州の5大学によるコンソーシアムの共同書庫に関して。
将来構想...とはちょっと違うかもしれませんが、現状の共同書庫がいっぱいになってきたため、また、キャンパス内にある図書館資料の再配置計画のため、新しい共同書庫を建設することが決まったようです。
Library Annex | www.fivecolleges.edu

*1:所蔵管理につかっている図書館システムが3機関ばらばら